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給料の会計処理~所得税預り金の計上~

schedule2021-10-29

今回は簿記3級の頻出論点である「給料の支払い」についてまとめました。クイズの解説も合わせてご覧下さい。

源泉徴収とは?

従業員の給料には所得税という税金がかかります。
例えば、給料100,000円、所得税5,000円であった場合を考えてみましょう。
本来、会社は給料総額100,000円を従業員に支払うはずですが、実際に支払うのは所得税5,000円を差し引いた95,000円になります。
このように、所得税を給料から差し引くことを源泉徴収といいます。
ちなみに、この所得税5,000円は従業員ではなく、代わりに会社が税務署に納付します。

会計処理

給料の会計処理は、給料の支払時と所得税の納付時の2パターンに分かれます。
例題とともに見ていきましょう。

給料の支払時

給料を支払ったときは、まず、給料の総額を給料勘定を使って費用処理します。
そして、所得税については、所得税預り金勘定を使って負債計上します。
負債で処理するのは、会社にとって源泉徴収した分を一時的に預かった上で、後に税務署に納付する義務が生じるからです。

例題1

給料50,000円の支払いに際して、所得税1,000円を差し引いた残額を現金で支払った。

給料の総額50,000円を給料勘定を用いて費用処理します。
所得税1,000円については所得税預り金という負債として処理します。
その残額49,000円が、従業員に対して現金で支払われたものということになります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
給料
50,000
所得税預り金
1,000
現金
49,000

所得税の納付時

所得税を納付したときは、源泉徴収した所得税の納付義務がなくなるため、所得税預り金という負債の減少として処理します。

例題2

例題1の所得税1,000円を現金で納付した。

所得税預り金という負債が減少するとともに、現金という資産も減少します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
所得税預り金
1,000
現金
1,000

クイズの解説

@tweet[https://twitter.com/debicre_boki/status/1453873431846342660]

従業員の給料を支払った際の仕訳において、給料総額から差し引かれる所得税は、「所得税預り金」という負債で処理します。
よって、正解は ○ でした。

「預り金」は社会保険料の納付の論点でも登場しますので、合わせて抑えておきましょう。